投資ブログ

なぜ「損をしたくない」という気持ちは、損を生むのか

損をしたくない気持ちは、誰にでもある

投資をしていると、「ここで損切りしたらもったいない」「もう少し待てば上がるかも」と感じる瞬間が何度もあります。
そして、その“もう少し”が、気づけば“もう遅い”に変わる。

逆に、少しの利益で安心して利確したら、その後に大きく上昇して悔しい思いをする──。
「自分が動くと逆にいく」あの不思議な現象に、心当たりのある人は多いでしょう。

このとき私たちは、損をしたくないというごく自然な感情に支配されています。
けれど皮肉なことに、この感情こそが「より大きな損」を引き寄せてしまうことがあるのです。


「損をしたくない」は“恐れ”である

心理学で有名な「プロスペクト理論」では、
人間は得をした喜びより、損をした痛みのほうを約2倍強く感じるといわれています。

たとえば、1万円得たときの嬉しさより、1万円失ったときのショックの方がずっと大きい。
そのため、私たちは「利益を伸ばす」よりも「損を避ける」判断を優先してしまうのです。

投資で言えば、「損切りできない」「利益を早く確定してしまう」という行動に現れます。
日常で言えば、「転職を先延ばしにする」「関係を切れない」「挑戦できない」なども同じ構造です。

人は“損失回避”の本能を持って生まれており、
それを完全に消すことはできません。
しかし、その感情を理解し、コントロールすることはできます。


「損を避ける」つもりが「損を増やす」

私たちが「損をしたくない」と思う瞬間、
実はすでに“冷静な判断”を失い始めています。

「まだ戻るかもしれない」と思ってホールドしているうちに、
チャートは下へ下へと進み、気づけば取り返しのつかない含み損。

一方、「利益が出たら早く確定したい」と焦るあまり、
本来なら伸ばせたトレンドを途中で手放してしまう。

これらの共通点は、どちらも**“今の痛み”を避けたい**という心の防衛反応です。
一時的に安心を得る代わりに、
“未来の選択肢”を減らしてしまう。

つまり、「損を避けたい」という思考そのものが、
結果的に「損を大きくする行動」へとつながるのです。


「損」は“悪”ではなく、“コスト”である

では、この負のループを断ち切るにはどうすればいいのでしょうか。

結論から言えば、損を「避けるもの」から「支払うもの」へと捉え直すことです。
損は「失敗」ではなく、「授業料」。
未来に進むために必要な“コスト”なのです。

トレードで損切りをするとき、
その行為は「負け」ではなく「リスク管理」です。
きちんと損を受け入れられる人こそ、次のチャンスを冷静に掴める。

人生でも同じことが言えます。
人間関係の別れ、仕事でのミス、思ったようにいかない時期──
それらも“損”のように見えて、実は“経験という資産”を積み上げている時間です。


損を「見える化」して距離を取る

損を恐れすぎないためには、
**「損を数値や言葉で見える化する」**ことが有効です。

  • 投資なら、損切りラインを事前に数字で決める

  • 感情的に動きそうな時は、「いま自分は怖いだけだ」と言葉にする

  • 失敗の記録をつけ、「損が教えてくれたこと」を書き出す

こうした行動は、感情に距離をつくり、冷静な判断を取り戻してくれます。
「損をしたくない」と思うこと自体は悪くありません。
ただ、その気持ちに“名前をつけて客観視する”だけで、
感情の支配から一歩抜け出せるのです。


「損を恐れる人」ではなく「損を理解する人」に

損を恐れる心は、誰にでもあります。
でもその恐れを知り、扱えるようになると、
投資も人生も驚くほど穏やかに、そして長く続けられるようになります。

「損をしたくない」と思った瞬間こそ、
“自分の心を観察するチャンス”です。
損を避けることよりも、損を通して学ぶことを選べる人が、
最終的に一番大きなリターンを得るのです。


この記事を読んだあなたへ

損を恐れるのは弱さではなく、人間らしさです。
だからこそ、恐れを知って付き合い方を覚えた人が、
本当の意味で“強い投資家”になります。

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